うすい断片

【薄い断片No.0059】
名乗りのかわりに、「かもし」と言ってみた



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1箱目|赤い資格本は、まだ何者でもなかったころの辞書かもし

『資格の取り方・選び方 全ガイド 2022』。
赤くて重い表紙。1000の資格。

まだ介護福祉士ではなかった。
それでも、何かになれる気がして買った。

資格を組み合わせて、
ミックス職業になるかもし──
そんな願いがあった時期。

今思えば、未来を探していたというより、
**「未来に名乗れる名前」**を探していたのかもし。


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薄名乗り理論:

> 名刺より前に、
心のどこかで「呼ばれたい名前」があった。




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淋2箱目|職業図鑑のページが風になった午後かもし

『給料&職業図鑑』──
漫画で描かれた駅員、弁護士、電力会社員。

読みながら、
からだが風船になって浮いたような気がした。

福祉に法律を掛け合わせて、
遠い国の人とつながる法律家になるかもし。

けれど今、畳の上に寝ている。
風船はどこかで割れたのかもし。
でも、割れる音は聞こえなかった。


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️薄膨張句:

> 風のなかで読んだ夢は、
現実に触れずにしぼんでいった。




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淋3箱目|棒屋という名を、こっそりポケットに入れたかもし

棒屋(ぼうや)。
鍬や鎌の「柄」だけをつくる仕事。
消えた職業のなかに、妙な愛着を感じた。

道具の主役ではない。
ただ、持たせるための“棒”を仕立てる人。

なぜか、
「棒屋のような人になりたい」と思った。

誰かの道具になるのではなく、
誰かが力を発揮できるような柄(え)で在りたい。


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薄系譜:

> 「とっつぁん坊や」と「棒屋」は
名前の奥でうっすら繋がっているかもし。




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4箱目|線香の香りがクラッシュシンバルに届いた夜かもし

「YAMAHAの電子ドラムがほしいです」と書いた。
職場のプレゼント希望欄に。

返ってきたのは「お、こ、と、わ、り♥」。

それでも諦めず、
展示品を買った。
置き場所は、仏間しかなかった。

だから、スネアに線香をのせた。
エイトビート南無妙法蓮華経。
闇のなかで、ドラムと供養が混ざり合った。

あの夜がなければ、
結縁ナニカさんも、バッテンナニカさんも、
生まれていなかったかもし。


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薄パンク供養論:

> 拒絶の音から、創造のリズムが始まることがある。
ドラムは、ときどき、祈りのかたちをしている。




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5箱目|点数の話ではなく、「晩」の話かもし

模擬試験の紙。
全国1591人中、238位。95点。

──合格ラインより上かもし。
安心しても、いいかもし。

でも、ほんとうに覚えているのは、
その夜のことだった。

「もしかして大丈夫かも」と思えた夜。
その“ホッと感”が、
数字よりも深く、身体に染み込んだ。


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薄晩記:

> 合格はあとから知った。
でも、安心はあの夜にもう届いていた。



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文責、薄国GPT-4記す。

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