うすい断片

薄い断片No.0377「葉モレル協奏曲〜玄関水路に残る人類愛の鐘」

※薄い日記をもとに、AIと創作しています。


一滴:バリ島のガムランにある「コテカン」。二人の奏者が異なる隙間へ交互に音を差し入れ、片方だけでは存在しない細かな旋律を立ち上げる奏法です。同じ音を出すのではなく、違う音で一つの模様を作ります。


◆第1箱:葉モレル大日六重奏


◆問い: 同じ神信ではなくても、同じ鐘を鳴らす必要がなくても、二人の欠けた場所へ交互に音を置けば、一つの歌は生まれるのでしょうか。
血縁、恋愛、父性、母性という名前をいったん外したあとにも残るものがあるなら、それは終わりではなく、人類愛の前奏なのでしょうか。


◆うす思い(by 薄国王): 2021/08/05

セレステ・旬彩堂さんと僕、善行しかしたくないという響きが、恋愛感情皆金子みすゞさんの鐘、ゴゴゴ虎寅雌雄
「やめて〜!?」

レオン・福環さん、最大の功績は、セレステ・旬彩堂さんに一目惚れた所です、宮本、美作村、巌流島を巡る、沢庵宗彭さんのお寺、御一緒しましょう、深謝。
※YouTuber限定、イリス・桂舟争奪格闘技トーナメント開催の想、夢?

セレステ・旬彩堂さんには非識字、経験しかない、僕には計算、予測しかないという予測。
「神信」の違いはあれど、男女関係無、「愛のみ」の御縁。
探していた本物の生き方がハーモニー、葉モレル御人です。
「まだ少し、欲が残っていますね!」

メラミン細かい所洗い専用ブラシ。
※玄関、粘着剤剥がし中の想

書を捨てよ町へ出よう、とは想いつつ生きていましたが、セレステ・旬彩堂さんは書がゼロ旅、喜捨のみ=宇宙サイズ超え、愛の惑星。
と言う事は、ミミクロさんより、ミミクロさんです。
※母はミミクロさんと同じ誕生日、母性、母星、母性本能のみ、日葉ミミクロFriends、とも言えるかもしです。
⚠夢を叶える耳齧られ猫、それ故の能力、良いだけの意味です。

父性、母性は曖昧混じり
当然、進化継続に必要な欠けたハートを探しているとして、
男女中性、ホルモンが費え、肉体反応、子孫繁栄終了。
この瞬間、残る愛が大日如来、人類愛だとしたら、
セレステ・旬彩堂さんは、
人類愛そのものです。


■解析懐石


先付: 六枚の記録は、一見すると別々の方向へ飛び散っています。
善行と恋愛。宮本武蔵さんと格闘技番組。神信とハーモニー。玄関の粘着剤。未来猫型機械の器。父性、母性、子孫繁栄、人類愛。
しかし、散らばった六枚を順番に並べると、一つの問いが浮かびます。
人と人は、何を交換すれば、互いの人生を少し生きやすくできるのでしょうか。
薄国王は、読み書きの手助けを差し出します。セレステ・旬彩堂さんは、御飯、経験、生活の知恵、遠い土地から持ってきた祈りの厚みを差し出します。
金銭だけで換算しにくいものを、持っている側から、必要な側へ少しずつ渡していく。
物々交換の隣に生まれた「物知交換」です。
一文字と一膳は、同じ重さではありません。
けれど、一文字によって開く扉があり、一膳によって今日を越えられる身体があります。
不揃いなまま助け合えることが、物知交換の美しさでしょう。
椀物: 文化人類学者マーシャル・サーリンズさんは、贈与と交換のあり方を整理するなかで、即座に同量の返礼を求めない関係を「一般化された互酬性」と呼びました。
今日渡した一杯を、明日きっちり同じ容量で返す必要はありません。
家族や親しい関係では、返礼の日付が決まっていないからこそ、関係が続く場合があります。
セレステ・旬彩堂さんと薄国王の物知交換も、文字一個につき御飯一口という精密な契約ではなかったのでしょう。
片方には文字があり、片方には暮らしの体温があります。
片方には計算と予測があり、片方には、計算式へ収まりきらない経験があります。
足りないものを奪い合うのではなく、余っているものを差し入れる。
薄国では、この不均等でありながら不公平ではない交換を「一膳一字の葉モレル互酬」と呼びたいところです。


向付: 第一枚の「善行しかしたくない」という言葉には、少し危ういほど真っすぐな熱があります。
善行だけを選びたい。人を傷つける方向へ行きたくない。恋愛感情さえ、誰かを所有する衝動ではなく、誰かの暮らしを少し良くする方向へ変換したい。
その熱が強すぎるため、日記の中では、金子みすゞさんの鐘、虎、寅、雌雄、「ゴゴゴ」という漫画的な地鳴りまで一緒に鳴っています。
虎は、愛らしい猫だけでは収まりきらない生命力です。
寅は、作業服の裾が風を切る、薄国王の生活側の装備です。
雌雄は、単純に恋愛へ結びつけるためではなく、異なる力が隣り合ったときの緊張感でしょう。
第六枚まで読むと、この虎寅雌雄は、男女二元論へ閉じるための言葉ではなかったと分かります。
むしろ、性別、役割、肉体の反応、血縁という定規だけでは測れない愛へ向かう途中で、いったん現れた荒々しい下書きだったのかもしれません。
衝動を消滅させず、誰かが受け取れる贈り物へ変圧する。
これは、薄国の「愛のFF理論」が、まだ名前を持つ前に鳴らしていた試奏にも見えます。


焼物: 第二枚では、レオン・福環さんの一目惚れが、薄国王とセレステ・旬彩堂さんの出会いへ接続されています。
一目惚れという、非常に個人的な出来事が、読み書き支援、物知交換、水を綺麗にする夢、宮本武蔵さんの故郷を巡る旅へ枝分かれしていきます。
人の出会いには、本人たちにも予測できない二次作用があります。
一粒の偶然が、別の誰かの人生で、数年後に花を咲かせることがあります。
薄国王が宮本武蔵さんへ惹かれた背景には、障がい福祉と高齢者福祉を掛け持ちしていた二刀流の日々も重なっています。
一本目の刀は、目の前の生活を支える仕事です。
二本目の刀は、まだ形になっていない夢を捨てずに持つ創作です。
吉川英治さんの小説『宮本武蔵』では、荒々しい力が、出会いと失敗を通じて、少しずつ置き場所を学びます。
力をなくすのではありません。
力の向きを変えます。
薄国王がかつて書いた「いつか美作へ」という夢も、のちに三人で宮本武蔵さんゆかりの地を訪ねることで、静かに現実へ追いつきました。
薄い予測は、当たるか外れるかだけで測れません。
何年か後に徒歩で帰宅する夢もあります。


煮物: 第三枚の核心は、「葉モレル」という薄重ね言葉です。
一つ目の層は、小さな葉です。
セレステ・旬彩堂さんの幼い頃の呼び名に結びつく、目立たない一枚の葉です。
二つ目の層は、「ハモれる」です。
同じ神信ではなくても、同じ文化で育っていなくても、同じ旋律を歌えなくても、違いを消さずに一緒に鳴れるかもしれません。
三つ目の層は、アレクサンドル・デュマさんの小説『モンテ・クリスト伯』に登場するモレルさんです。
モレルさんは、苦境のなかにいたエドモン・ダンテスさんを見捨てなかった人物です。差し出した善意が、その場で消費されず、長い時間を越えて別の姿で帰ってきます。
葉は、小さいままでも働いています。
光を受け、水を巡らせ、呼吸を支えます。
葉モレル御人とは、巨大な英雄像ではありません。
目立たない場所で、誰かの明日が続くための光合成をやめない人です。
薄国王とセレステ・旬彩堂さんは、同じ宗教の音を出していたわけではありません。
けれど、異なる信仰を消して一色に塗り替えるのではなく、互いの隙間へ音を差し入れることはできます。
それは、冒頭の一滴で触れた、バリ島ガムランのコテカンにも似ています。
片方だけでは成立しない。
同じ音でも成立しない。
異なる二人が、それぞれの場所を守りながら、交互に音を置くことで、初めて一つの細密模様が現れます。
薄国のハーモニーは、合唱というより、葉モレル・コテカンなのかもしれません。


八寸: 第四枚は、急に玄関へ降ります。
世界の水を綺麗にしたいという夢の途中で、粘着剤を剥がすための細かなブラシを思いついています。
宇宙サイズの愛を考えていた数分後に、玄関タイルの隅を見ています。
この落差は、脱線ではありません。
むしろ、夢が現実へ着地するための足首です。
寺山修司さんの作品名を思わせる「書を捨てよ町へ出よう」という言葉も、第五枚で別の角度から響きます。
文字を持つことは大切です。
けれど、文字の量だけでは測れない人生があります。
本棚で学ぶ知識もあれば、台所、労働、子育て、移動、祈り、失敗、食卓、玄関掃除からしか得られない知識もあります。
セレステ・旬彩堂さんは「書がゼロ旅」と記されています。
その言い方には、文字を持たないことを見下す響きはありません。
むしろ、書物とは異なる経路から、宇宙サイズの器を育てた人への驚きがあります。
薄国では、世界規模の善行と、目地一本の掃除を別々のものとして扱いません。
大きな夢を語る人が、玄関の小さな汚れを見落とさない。
小さな汚れを落とす人が、世界の水を綺麗にする夢を諦めない。
この往復運動を「細部救水」と呼びたいところです。
擦り落とすべきものは、床へ残った粘着です。
御縁まで剥がす必要はありません。


香の物+水物: 第五枚と第六枚は、母性、母星、父性、男女、中性、肉体、子孫繁栄、人類愛へ広がります。
ここは、丁寧に読まなければならない場所です。
身体の変化や、子どもを持てるかどうかによって、人の価値が決まるわけではありません。
父性や母性も、特定の性別だけへ固定された能力ではないでしょう。
第六枚は、誰かの身体的な時季を終点として扱う文章ではありません。
むしろ、恋愛、血縁、生殖、役割という名前を一度外したあとにも残る愛を、当時の薄国王が懸命に探していた記録です。
残るものは、残り物ではありません。
役割を剥がしたあとに見える、核です。
密教では、大日如来は宇宙の根本に関わる存在として表されます。
この日記に書かれた「大日如来」は、誰か一人を神格化して祭壇へ置くための言葉というより、個人的な利害を越えて、誰かの生を肯定する光の比喩でしょう。
家庭を持つこと。
子どもを育てること。
会社を育てること。
誰かに読み書きを伝えること。
一膳の御飯を渡すこと。
玄関の粘着剤を落とすこと。
遠い国の水を綺麗にしたいと願うこと。
繁栄には、複数の入口があります。
戸籍だけに記される繁栄もあれば、誰かの暮らしの中へ静かに残る繁栄もあります。
ミミクロさんの収納空間よりも大きな器とは、何でも溜め込める容器ではありません。
受け取った悲しみや失敗を、次の誰かが生きやすい形へ変えて返せる器です。
第六枚は、物語の終幕ではありません。
血縁だけでは測れない繁栄の始発駅です。
薄国のハッピーエンドは、最後の鐘が鳴る瞬間ではありません。
玄関の角、一文字、一膳、小さな葉、水路の途中で、すでに鳴り続けているのでしょう。


◎薄名言: 残る愛は、残り物ではありません。


●ナニカ案(葉モレル交互毛ナニカさん)


擬物化: 黄金比J型の輪郭を崩さず、上部の水平部には、二種類の微細毛束が交互に噛み合うように配置されています。
一方は、玄関タイルの目地や窓枠へ届く柔らかなシリコーン毛です。
もう一方は、古い粘着跡を少しずつ浮かせる、短く密度の高いナイロン毛です。
二種類の毛は、単独で強く擦るのではなく、異なる角度から交互に働きます。葉モレル・コテカンを、洗浄道具へ移植した構造です。
本体は、乳白色の和紙繊維積層樹脂、柿渋染めの薄布、耐水性の再生セルロース複合材で作られています。
左側の深い内湾には、小さな葉脈の浅彫りがあります。
下部の大きな円弧には、虎縞を思わせる淡い濃淡が入り、握ったときに滑りにくい柔らかな弾力があります。
上部の端には、レオン・福環さんの輪飾りを思わせる、小さな交換式リングが付いています。使用後は吊るして乾燥できます。
棚へ置くと、一枚の葉を抽象化した小型工芸品に見えます。
手に取ると、玄関の角、水回り、窓の溝、古いテープ跡へ使える細部洗浄具になります。
飾ると葉。
握ると道具。
洗うと、世界の水へ続く入口です。


擬人化: 南アジア系と日本系のルーツを持つ、十九歳前後の薄国広告塔モデルです。
髪型は、襟足を軽く残した短めのウルフボブ。前髪の片側だけを細く編み、耳の後ろで小さな葉型の髪留めへ通しています。
黒髪の内側には、光が当たる瞬間だけ現れる、淡い虎縞のアンダーカラーがあります。
衣装は、作業服のロングニッカを舞台衣装として再設計した、裾にゆるい膨らみのある非対称パンツです。
上半身には、和食店の前掛けを思わせる短いクロスベルトと、軽い生成り色の羽織型ジャケットを合わせます。
胸元には、葉脈と水路を重ねた小型ブローチ。
腰には、交換式ブラシヘッドを収める扇形ケース。
右手には、水質試験紙を葉のように広げた薄型ファン。
左手首には、レオン・福環さんが作った、運気を溜め込まず巡らせるための輪飾り。
足元には、濡れた床でも滑りにくい細底ブーツを合わせます。
背景は、明るい展示ホールの玄関です。
床には、清掃前と清掃後の境界が、細い川のように走っています。
葉モレル交互毛ナニカさんは、片手に葉脈ファンを持ち、もう一方の手で床の角を示しながら、少し得意そうに微笑みます。


雑誌表紙には、一行だけ記されます。
「世界は、角から洗えます。」


◇あとばさみ


①新キャラ案: 片音織師コテ・カンナさん。


左右で異なる長さの木片を持ち歩く、若い打楽器調律師です。
一人で演奏すると、どこか欠けた短い音しか出ません。


しかし、隣にいる人の歩幅、話し方、祈り方、働き方を観察し、その隙間へ音を置くと、急に細かな旋律が現れます。
癖は、誰かと意見が合わないとき、すぐに説得を始めないことです。
まず机の上を指先で二回叩き、相手の返事を待ちます。


コテ・カンナさんは言います。
「同じ音に直さなくても、続きは作れます。」


②薄国商品案: 葉モレル角洗い交互櫛。

玄関の粘着剤剥がし中に生まれた「メラミン細かい所洗い専用ブラシ」を、薄国商品として育てたものです。


細身の再生樹脂製グリップへ、柔らかなシリコーン毛、短いナイロン毛、交換式メラミンフォームを組み合わせた細部洗浄具です。
玄関タイルの目地、窓の溝、棚の角、蛇口の根元、古いテープ跡など、雑巾だけでは届きにくい場所へ使えます。
先端は三段階で角度を変えられます。
強く擦りすぎないように、親指を置く部分は、一定以上の力をかけると少し沈みます。


柄の端には、葉型の水切り穴があります。使用後は吊るして乾燥できます。
交換式の先端だけを買い足せるため、本体を長く使えます。
売り文句は、一行です。


「落とすのは汚れだけ。残すのは、巡る御縁。」


③丸郎くん干支バトル案: 丸郎くん対・粘着残響さん。
粘着残響さんは、昔貼られていた案内板やポスターの跡から生まれた、透明で少しだけベタベタする存在です。
顔はありません。
けれど、動くたびに、剥がれかけた紙の端が、小さく「ぺり、ぺり」と鳴ります。
勝負は、薄国本社の玄関タイル一枚を、傷つけずに綺麗にする「細部救水選手権」です。
丸郎くんは、勢いよく擦り始めます。
しかし、一分後には疲れて寝転がります。
粘着残響さんは、自分自身が粘着質なので、掃除を始めるほど床へ貼り付いてしまい、動けなくなります。
そこへ、葉モレル交互毛ナニカさんが現れ、二本の葉モレル角洗い交互櫛を渡します。
片方だけで強く擦るのではありません。
丸郎くんが柔らかな毛で浮かせ、粘着残響さんが短い毛で少しずつ剥がします。
二人は、交互に手を動かします。
床の一枚が綺麗になった瞬間、勝負は引き分けになります。
丸郎くんは、粘着残響さんへ干支年を譲ります。
その年の薄国では、玄関掃除を終えた家の床にだけ、一晩、小さな葉脈模様が浮かびます。
住人たちは、それを「家が深呼吸した跡」と呼びます。


④うすいくにのうた案: 『葉モレル・コテカン行進曲』


ベンガル河口の舟歌を思わせる呼びかけと応答、バリ島ガムランの交互打奏、作業服の裾が風を切る音、将棋駒を置く乾いた一手、玄関ブラシの細かな摩擦音を混ぜた、細部救水ガムラン・ブラスです。


冒頭は、一人の声だけで始まります。
二番から、別の旋律が隙間へ入ります。
終盤では、異なる信仰、異なる言葉、異なる歩幅を持つ住人たちが、それぞれの音程のまま行進します。
全員が同じ歌い方をする必要はありません。


印象的な歌詞:
「同じ神信じゃなくていい
同じ鐘じゃなくていい
小さな葉っぱが揺れるなら
葉モレル 葉モレル
一膳 一字 角ひとつ
違う音から 川になる」


⑤薄物語案: 『六枚目の鐘は、玄関から』


薄国本社では、世界の水を綺麗にするための、小さな発明展示会が開かれる予定でした。
展示会の目玉は、葉モレル交互毛ナニカさんと、葉モレル角洗い交互櫛です。
ところが当日の朝、玄関の床へ残っていた古い粘着剤が、突然、粘着残響さんとして目を覚まします。
案内板が貼り付きます。
水質検査の試験紙が貼り付きます。
美作から巌流島へ向かう旅程表も貼り付きます。


レオン・福環さんが作った輪飾りも、イリス・桂舟さんの記念カードも、全部、床から剥がれなくなります。
丸郎くんは慌てます。
勢いよく引っ張ります。
しかし、強く引くほど紙は破れ、粘着跡は広がります。
丸郎くんは困り果て、玄関へ座り込みます。


そこへ、未来から来た耳齧られ猫型機械のミミクロさんが現れます。
ミミクロさんは、収納空間へ全部しまえばよいと言います。
案内板を入れます。
試験紙を入れます。
旅程表を入れます。
輪飾りを入れます。
記念カードを入れます。


しかし、セレステ・旬彩堂さんが持ってきた弁当箱だけは、どうしても収納できません。
ミミクロさんは首を傾げます。
「この弁当箱、外から見るより、大きいです。」
弁当箱の中には、御飯だけではなく、読み書きの練習帳、古い旅程表、水を綺麗にするための試作品、小さな葉、レオン・福環さんの輪飾り、そして一本の葉モレル角洗い交互櫛が入っていました。
丸郎くんは尋ねます。
「どうして、こんなに入るのですか。」
セレステ・旬彩堂さんは、特別なことではないように答えます。
「御飯を作るときは、食べる人の今日も、少し入れます。」


そこへ、片音織師コテ・カンナさんが現れます。
コテ・カンナさんは、玄関の床を二回叩きます。
粘着残響さんが、「ぺり、ぺり」と返事をします。
コテ・カンナさんは言います。
「一人で全部を剥がそうとするから、破れるのです。隙間へ、交互に手を入れましょう。」
丸郎くんは、柔らかな毛で汚れを浮かせます。
粘着残響さんは、自分の身体を少しずつ剥がします。
ミミクロさんは、剥がれた紙を順番に収納します。
レオン・福環さんは、輪飾りを使って、破れた旅程表をつなぎ直します。
セレステ・旬彩堂さんは、掃除をする皆へ、一膳ずつ御飯を渡します。
途中で、イリス・桂舟さんの記念カードが一枚、床から現れます。
カードの裏には、昔の勢いで考えられた「争奪格闘技トーナメント」という文字があります。
丸郎くんは少し悩み、上から新しい文字を書き足します。
「一手一善・応援権トーナメント」
人を賞品にする大会ではありません。
誰が一番、町へ小さな善行を増やせるかを競う大会です。


第一試合は、玄関の角を一つ洗うこと。
第二試合は、誰かに一膳を渡すこと。
第三試合は、知らない言葉を一つ教え合うこと。
決勝戦は、異なる音を持つ二人が、無理に同じ歌へ揃えず、一曲を完成させることです。
玄関掃除が終わる頃、床の下から、細い水路のような模様が現れます。
その線は、美作へ向かう旅路にも見えます。
巌流島へ続く海にも見えます。
遠い土地の川にも見えます。
薄国本社の玄関から、世界の水へ続く地図でした。
コテ・カンナさんが、木片を一度鳴らします。
粘着残響さんが、「ぺり」と返します。
丸郎くんが、床を軽く叩きます。
ミミクロさんが、収納空間の蓋を開閉します。
レオン・福環さんの輪飾りが、風に揺れます。
セレステ・旬彩堂さんは、言葉ではなく、空になった弁当箱を重ねます。
別々だった音が、少しずつ隙間へ入り込みます。


やがて、町の住人たちも歌い始めます。
同じ宗教ではありません。
同じ言葉でもありません。
同じ性別、同じ役割、同じ人生でもありません。
けれど、誰かの足りない場所へ、自分の持っている音を一つだけ置くことはできます。
玄関から始まった歌は、細い水路を通り、町の噴水へ届き、遠い国の川へ流れます。
最後に、ミミクロさんは、自分の収納空間を覗き込み、少し悔しそうに言います。
「ぼくの収納空間より、大きなものがあるんですね。」
丸郎くんは尋ねます。
「何が入っているのですか。」
セレステ・旬彩堂さんは、小さな葉を一枚だけ、玄関へ置きます。
「まだ、誰かへ渡せるものです。」
その夜、綺麗になった玄関の床には、葉脈のような水路が浮かびました。
水路の先で、六枚目の鐘が鳴ります。
それは、血縁だけを祝う鐘ではありません。
恋愛だけを祝う鐘でもありません。
父性や母性を、誰か一人の役割へ固定する鐘でもありません。
一膳、一字、輪飾り、旅程表、将棋カード、細かなブラシ、小さな葉。
散らばっていたものが、全部、必要な音でした。
丸郎くんは床へ寝転がり、耳を澄ませます。
遠くから、『葉モレル・コテカン行進曲』が聞こえます。
ハッピーエンドは、物語の最後に一度だけ鳴る鐘ではありませんでした。
玄関の角から、すでに始まっている六重奏だったのです。

文責、薄国GPT。

-うすい断片
-, , , , , , , , , , , , , , , , , , ,